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富来城跡

 平成26年NHK大河ドラマ「軍師・官兵衛」にちなんでわが故郷 大分県宇佐市近辺の城跡を中心にゆかりの地の探索してみた。

 それは 豊後の富来城跡、杵築城、豊前の高森城跡中津城、筑前福岡城跡肥前名護屋城跡(おまけとして肥前唐津城)、黒田家墓所と光雲神社である。

 更に続編として豊臣秀吉天下統一最後の戦いが行われた 相模国 小田原城攻めに築城された 石垣山一夜城跡を探索した。

その第1弾 富来城跡である。

富来城(大分県国東市国東町富来浦)

旧富来中学校(廃校)の南側に小高くなった城山子供公園があり、ここに案内板などが設置されている。


富来城は、弘長元年(1261)築城される。
その後、富来氏は大友氏に対し終始一貫して忠節を尽くしたが大友氏没落により流浪。その後、垣見氏の居城となるも、間もなく慶長五年(1600)、黒田如水により攻撃され激戦の末、開城するまで三百四拾年城地として続いた。

 また、足利尊氏が京都で敗戦後九州に落ちた際先ず富来の地に到着し、上洛の折も再び富来から出陣したこと、及び300年以上の長い間城地として続いたことからも瀬戸内の要衛であったことが判る。

大河ドラマ人気にあやかり 「軍師官兵衛国東半島の激戦巡り」の看板が・・・

南側には一部石垣が残っており、垣見氏の時代に整備されたようである。



「軍師・黒田官兵衛」は石垣原の戦いで 大友氏を破り慶長5年(1600年)9月23日城代・垣見理右ェ門が守る富来城へ攻め込んで激闘が行われましたが、城主・家純が大垣城で討ち死にしたとの知らせを受け、かくて10月2日に無血開城を致しました。

 しかしながら小国一城のわずか500人の兵で城攻めに10日も掛かった事、そして関が原の戦いで西軍が1日で敗れ去った事などの計算違いは、如水が九州を制圧し、やがて天下取りへの野望は大きく狂うことになります。

 また、このとき18歳の宮本武蔵が黒田如水の軍勢として参戦し、堀を乗り越える時、足を竹槍で突かれ負傷したという逸話も残っています。

(富来ようなれ会)

ー 九州の関が原;石垣原の戦い −


慶長5年(1600年)6月、徳川家康が会津(福島県)の上杉景勝を征伐するため、諸将を率いて関東へ下向すると、近畿地方から徳川家康の勢力が居なくなった。

すると、7月、その隙を突いて石田三成は大阪城を占領し、毛利輝元を盟主とした反徳川家康勢力(西軍)を結成すると、「内府ちかひの条々」を発表して徳川家康を糾弾し、反徳川家康の狼煙を上げた。

7月17日、この報を受けた黒田如水(官兵衛)は徳川家康に味方することを即決、挙兵を決意すると、家臣を集めて、出陣の日を9月9日と定め、家臣に出兵の準備を命じた。

しかし、普段から鍛錬していた兵は黒田長政に従って会津討伐(上杉討伐)に出ていたので、豊前・中津城には、わずかに警護の兵士か残っているだけ。金銀を放出して兵士を集めた黒田如水は、9月9日、「如水原」で軍9000人を整え、大友義統を討つため、豊後へと侵攻開始した。

途中、赤根峠で杵築城の危機の報に接し、井上九郎右衛門に3000騎を与えて杵築城へ向かわせ、本隊は富来城を目指した。

9月11日に富来城(大分県国東市国東町富来浦)を包囲したが、城攻めはせずに南下して9月13日に安岐城を通過して、杵築城を目指して進軍した。

これより先、9月12日に黒田如水の先手・井上九郎右衛門が杵築城に駆けつけると、田原紹忍は退路を断たれることを恐れ、杵築城の包囲を解いて撤退した。

黒田如水は実相寺山(實相寺山)に本陣を敷き、石垣原を隔てて、立石城に籠もる大友義統と対峙。石垣原の合戦で大友軍の大将・吉弘嘉兵衛(吉弘統幸)が討たれると、大友軍は総崩れとなり、立石城へと逃げ込んだ。

9月15日(関ヶ原の合戦の当日)の早朝、大友義統は娘婿・母里太兵衛の陣営に入り、黒田如水に降伏した。

黒田如水は来た道を戻り、前回は素通りした安岐城を9月17日に包囲し、安岐城は9月19日に降伏し、多くの者は黒田如水に仕えた。

続いて9月下旬、黒田如水が富来城を包囲しているとき、上方からの舟が来て、「関ヶ原の合戦にて敵は悉く敗走し、徳川家康が勝利」の報を持ってきた。

10月2日夜、富来城城代・筧利右衛門は城主・垣見一直の命に従い、富来城を開城して、黒田如水に降伏した。

黒田如水が富来城を包囲している間に、別部隊の栗山四郎右衛門らが豊後にある臼杵城・角牟礼城・日隈城を開城させており、富来城の降伏により、豊後は平定された。

付録:

 2003年の新作歌舞伎で「斑雪白骨城」が上演された。その中の主要登場人物に黒田如水、富来城、中津城が舞台となって登場した。
 国立劇場三月新作歌舞伎公演
「斑雪白骨城(はだれゆきはっこつじょう)」
2003年3月8日〜24日国立劇場 主演 中村梅玉 片岡孝太郎
(1995年国立劇場新作歌舞伎脚本入選作 )
作:岩豪友樹子 演出:中村梅玉 演出:国立劇場文芸室

 安土桃山時代末期、豊前国(現在の大分県)の平定を目論む武将・黒田孝高(後に如水)は、地元の豪族・宇都宮鎮房を謀殺します。鎮房の娘・鶴姫は父の屍を前にしても毅然とした態度で振舞い、その気高さに如水は強烈に惹かれます。鶴姫は、如水を父の敵 と憎悪し、その命を狙い続けますが、いつしか如水を慕う自らの心に気付き、愕然とします。

 時が流れて関ヶ原の戦いの頃、如水の前に、落ちぶれた鶴姫が現われ、築城中の中津城の人柱に自らを立てるよう迫ります。その 鶴姫の真意とは、そして、如水が下した決断は・・・。

 天下取りを夢見る如水と誇り高い鶴姫の凄絶な恋物語を、梅玉の如水、孝太郎の鶴姫でお送りします。

  杵築城

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